【宏人】
「去年……の報告書……ですか」
【七瀬】
「正式な部になるからね。それを書くコトが前提での昇格ってコトだから。下手なコト書くと昇格取り消しかもしれないわね」
【末梨】
「残念ながらわたしは力に成れないようです。……では、戦場がわたしを呼んでますので」
【七瀬】
「コラコラ、だめよ。末梨ちゃんも去年何したか、一応知っておいて……部員なんだから」
【末梨】
「…………ビチクソです」
渋々と言った感じで、会話の輪へと戻る末梨ちゃん。
【春希】
「去年って言うと、一番はやっぱり学園祭?」
【宏人】
「あれは…………、果たして書いていいのか?」
【末梨】
「……この何もしてない部が何かしたんですか?」
【絢美】
「うん……、一応ね」
【七瀬】
「アドベンチャーゲームを作って展示したのよ。あれは盛り上がったわね」
【宏人】
「内容が18禁じゃなければ……ですね」
脚本・監修を先輩が担当したのが間違いだった。
というか、そう言う事態になる事を予想すべきだった……。
絵は先輩が漫研から人員を引っ張ってきて……、プログラム関連は俺が知り合いから教わり、絢美が補助という形で作り上げた。
【春希】
「声をヒロが主人公、ボクがヒロイン担当して…………あれはボクの宝物だよ」
……ハルは、あれがそんなに良い思い出として記憶に残っているのか……。
俺なんて恥ずかしくて……、既に黒歴史状態と化している。
【七瀬】
「シナリオが短いとはいえ、傑作。伝説となるハズだったのに」
【絢美】
「……開始十分で展示停止になりましたからね」
【宏人】
「当たり前ですって……」
当時は、自分達の汗の結晶が展示禁止となり何故かガッカリとしたものだが、今思えば……助かったの一言だ。
【宏人】
「あの事……書くんですか?」
【七瀬】
「いんじゃない? 面白そうだし」
…………部への昇格が、取り消しになってもしらんぞ。
【宏人】
「後は……? なんかしたっけ?」
【絢美】
「ほら、一応、合宿したよね……夏にさ?」
【宏人】
「ああ……、アノ祭りに行ってきたなぁ。充分日帰りできたのに、何故か泊まりで…………埋立地の祭典へ」
【七瀬】
「あれは割とホテル取るの大変だったのよ? コネ使ってちょっと無理矢理ねじこんだんだから」
【宏人】
「その無理矢理も、二日前にいきなり合宿するとか言い出した先輩のせいですけどね」
【七瀬】
「知的文化をより研究できる、イイ案だと思ったのよ」
【宏人】
「…………とても研究になったとは思えないんですが」
【七瀬】
「あらそう? 他の二人は大分買い込んでたみたいだけど」
【春希】
「…………えへへ、ちょっと興味あったから。おかげでちょっと自信が持てたよ」
……確かに、ハルはコスプレ紛いの格好で写真を頼まれてたりしてたなぁ。
【絢美】
「え、あの……その、あたしは姉達に頼まれたもので」
【七瀬】
「……ニヤニヤ」